エアコン取付業者として独立したら年収いくら?単価相場と手取りの現実
- コラム
エアコン取付業者として独立したら、実際のところ年収はいくらになるのか。
求人広告には「年収1,000万円可能!」という景気のいい言葉が並びますが、現場で働く職人さんなら知っているとおり、売上と手取りはまったくの別物です。この記事では、量販店ルートの単価相場という「動かない数字」から出発して、独立後の年収をできるだけ現実的に計算していきます。
結論: 年収は「単価 × 台数 − 中抜き − 経費」で決まる
最初に結論です。エアコン取付業者の年収を決める変数は、突き詰めると次の4つしかありません。
- 1台あたりの単価(どの元請けから仕事を受けるか)
- 年間の施工台数(繁忙期だけか、年間通して仕事があるか)
- 手数料(中抜き)の率(売上の何%が消えるか)
- 経費(車両・道具・材料・保険)
このうち①と③は「どこと組むか」でほぼ決まります。つまり、腕を上げる前に、組む相手を選ぶことが年収に一番効く——これがこの記事の一番伝えたいことです。
1台あたりの単価相場(量販店ルートの現実)
大手家電量販店様でエアコンを買うと、標準取付工事費はおおむね 12,000〜18,000円(2025年時点)に設定されています。
ただし、これは新品を取り付けるだけの価格です。実際の現場では、既設エアコンからの入れ替え工事のほうが多く、取り外しの代金が上乗せされます。そのため1件あたりの工事金額は、平均すると 12,000〜25,000円程度 のレンジになり、材料代などを差し引いた実入りでも 1件8,000〜20,000円 が現場の目安です。
ところが、多重下請け構造ではこうはいきません。間に仲介業者が入ると、実際に工事をする業者様の手元に残るのは取付1台あたり 7,000〜9,000円前後 まで削られるというのが業界の実情です。お客様が払った工事費の3〜4割が、工事をしていない会社に消えている計算になります。
単価が低いとどうなるか。1日に5台、6台と数をこなさないと売上が立たないため、1台あたりにかけられる時間が削られます。移動も施工も常に時間との勝負になり、体力的にも品質的にも余裕がなくなる——下請け単価の安さは、働き方の質に直結します。
繁忙期と閑散期: 月収には大きな波がある
エアコン工事の仕事量は年間で平らではありません。
- 繁忙期(6〜8月): 猛暑日が続くと取付依頼が殺到。朝から晩まで稼働して月収が跳ね上がる時期
- 中間期(春・秋): 引越しシーズンの移設需要はあるが、夏ほどではない
- 閑散期(冬): 暖房需要でエアコン工事自体もゼロにはなりません。さらに、アンテナ・ウォシュレット・テレビ壁掛け・インターホンなどの家電取付工事を扱う元請けと組んでいれば、冬場も稼働は途切れません
「夏に稼いで冬は別の仕事」という働き方の業者様も多いですが、エアコン以外の取付工事まで年間を通して供給できる元請けと組めるかどうかで、年収の安定感はまるで違ってきます。
売上から消えるお金: 手数料の仕組みを知る
独立して業務委託で働く場合、売上から必ず引かれるのが元請けへの手数料(マージン)です。
業界の標準的な手数料率は 20〜30%。たとえば年商1,500万円の業者様なら、300万〜450万円が手数料として消える計算です。
ここで覚えておいてほしいのは、手数料率は元請けによって大きく違うということ。同じ腕で同じ台数をこなしても、手数料20〜30%の元請けと10%の元請けでは、手元に残る金額に年間で約300万円の差が出ます(年商1,500万円で試算)。300万円あれば、車両の入れ替えも、道具の更新も、家族旅行も全部できてしまう金額です。
さらに見落としがちなのが支払いサイクル。締めから入金まで2ヶ月、3ヶ月かかる元請けだと、仕事はあるのに手元の資金が回らない「黒字資金難」に陥ります。月末締め・翌月払いなど、サイクルの短い元請けを選ぶことは、独立初期ほど重要です。
年収シミュレーション
ここまでの数字を組み合わせて、独立後のモデルケースを試算してみます。
その前に経費の話を。車両・ガソリン・道具・材料・保険を合わせると、年商1,500万円規模で経費は年間300万円前後というのが現場の実感値です。とくに近年は道具や部材の価格が上がっており、経費は昔の感覚より重くなっています。
ケースA: 多重下請け(単価8,000円・手数料相当が既に引かれた金額)
- 繁忙期1日6台 × 月25日 = 月120万円、閑散期は月30〜40万円
- 年商目安: 約800〜900万円
- ここから規模相応の経費(年150〜200万円程度)を引くと、手取り感覚は500〜600万円台
ケースB: 手数料10%の元請けと直接契約
- 中抜きが薄い分、1件あたりの実入りが8,000〜20,000円に上がる
- 入れ替え中心の現場なら、1日6件で売上10万円超えが基本ライン。繁忙期は月200万円を超える月も
- 年商1,300万〜2,200万円のレンジが現実的に狙える
- 手数料が10%なら、年商1,500万円で手元に残る差は前述のとおり年間約300万円。経費300万円を払ってもまだ、ケースAとの差は歴然です
同じ働き方でも、組む相手でケースAとBの差が生まれる——これが「単価と手数料が年収の大半を決める」ということの意味です。
手取りを増やす3つの方法
- 手数料率の低い元請けを選ぶ: 20〜30%が当たり前の業界で、低率の元請けは存在します。契約前に必ず率と支払いサイクルを確認しましょう
- 年間を通して仕事がある取引先を持つ: 夏専業から年間稼働に変わるだけで、年収は大きく変わります
- 仲間と一緒に動く: 2人以上のチームになると受けられる案件の幅が広がり、元請けによってはチーム向けの優遇条件もあります
まとめ
- 取付のみの量販店工事費は12,000〜18,000円。入れ替え中心の実際の現場では1件12,000〜25,000円程度で、実入りは8,000〜20,000円が目安
- ただし多重下請けに入ると、実入りは1台7,000〜9,000円前後まで削られる
- 年収を決めるのは腕より先に「単価・台数・手数料・経費」の4変数
- 手数料20〜30%と10%では、年商1,500万円で年間約300万円の差
- 独立初期ほど、支払いサイクルの短さが命綱になる
株式会社シーレンは、エアコン工事・家電取付の協力業者様を手数料10%・月末締め翌月25日払いで募集しています。経験者の方は経験者募集ページを、これから始める方は未経験者募集ページをご覧ください。2名以上での独立を考えている方にはチームスタートプランもあります。
よくある質問
Q. 独立1年目から年収600万円は可能ですか?
A. 経験者で年間を通して案件が確保できれば十分現実的なラインです。実際に、独立1年目で1,000万円を超えた例もあります。未経験からの場合は、ひとり立ちまでの期間(半年〜1年)を見込んでください。
Q. 資格は何が必要ですか?
A. 第2種電気工事士があれば仕事を始められます。詳しくは別記事で解説予定です。
Q. 閑散期の冬はどうやって乗り切るのですか?
A. 暖房需要のエアコン工事に加え、アンテナ・ウォシュレット・テレビ壁掛け・インターホンなどの家電取付工事を扱う元請けと組むことで、冬場も稼働を確保できます。