エアコン工事の「中抜き」とは?多重下請けの手数料相場と元請け選びのポイント

「同じ工事をしているのに、隣の業者様は自分より単価が高いらしい」——この差の正体が、今回のテーマである手数料(中抜き)です。

エアコン工事の業界では、お客様が払った工事費がそのまま職人さんに届くことはほぼありません。間に入る会社の数だけお金が削られていく多重下請け構造があり、どの位置で仕事を受けるかが、腕前以上に手取りを左右します。この記事では、その仕組みをお金の流れに沿って解説します。

お金の流れ: 量販店様から職人さんに届くまで

大手家電量販店様でエアコンが1台売れると、工事はおおむね次のルートで下りてきます。

  1. 量販店様 … お客様から標準取付工事費(12,000〜18,000円程度)を受け取る
  2. 一次請け(施工管理会社) … 量販店様から工事をまとめて受注し、配下の業者様に割り振る
  3. 二次請け・三次請け … さらに下の業者様や個人の職人さんに流す
  4. 実際に工事をする職人さん … 現場で施工する

各段階で手数料が引かれるため、ルートが深くなるほど末端の取り分は減ります。多重下請けの末端では、取付1台あたりの手元に残る金額が7,000〜9,000円前後まで削られるのが業界の実情です。お客様が払った金額の3〜4割が、現場に来ない会社に消えている計算になります。

手数料率の相場は20〜30%

業務委託でエアコン工事を受ける場合、元請けに支払う手数料率の業界相場は売上の20〜30%です。

率にすると小さく見えますが、金額にすると印象が変わります。年商1,500万円の業者様なら、手数料は年間300万〜450万円。1ヶ月あたり25万〜37万円が、毎月自動的に消えていく計算です。

しかも手数料は「売上に対して」かかるため、繁忙期に頑張って数をこなすほど、引かれる金額も増えます。手数料率の数%の違いは、繁忙期にもっとも大きく効いてくるということは覚えておいて損がありません。

中抜きが深いと何が起きるか

単価が削られることの影響は、収入だけにとどまりません。

  • 数で稼ぐしかなくなる: 1台7,000円なら、1日6台回しても42,000円。移動時間を含めると常に時間に追われます
  • 品質と安全に余裕がなくなる: 1台あたりにかけられる時間が短くなり、丁寧な施工や養生の余裕が削られます
  • 情報が遅い・通らない: 現場の状況や追加工事の相談が、何社も経由するうちに伝言ゲームになります
  • 支払いが遅い: 間に入る会社が多いほど、入金サイクルも長くなりがちです

つまり中抜きの深さは、手取りだけでなく働き方の質そのものに響きます。

手取りを守る元請け選び: 5つのチェックポイント

契約前に確認したいのは次の5点です。

  1. 手数料率: 相場は20〜30%。それより低い元請けも存在します。口頭ではなく書面で確認を
  2. 支払いサイクル: 月末締め翌月払いが理想。締めから入金まで2〜3ヶ月かかる元請けは、独立初期の資金繰りを直撃します
  3. 自分が何次請けになるのか: 元請けと直接契約か、間に何社入るのか。深い位置ほど単価は下がります
  4. 年間を通した案件供給: 夏のエアコンだけか、冬場の家電取付工事(アンテナ・ウォシュレット・テレビ壁掛けなど)まであるか
  5. 手直し・クレーム時のルール: 手直し費用の負担区分が曖昧な元請けは、後でトラブルになりがちです

詳しい年収シミュレーションはエアコン取付業者の独立後の年収の記事で解説していますが、手数料20〜30%と10%では年商1,500万円で年間約300万円の手取り差が出ます。

まとめ

  • エアコン工事は量販店様→一次請け→二次請け…と下りる多重下請け構造で、各段階で手数料が引かれる
  • 業界の手数料相場は売上の20〜30%。末端の職人さんの取り分は1台7,000〜9,000円前後まで削られることも
  • 中抜きの深さは収入だけでなく、働き方の質・支払いサイクルにも影響する
  • 契約前に「率・支払いサイクル・何次請けか・年間案件・手直しルール」の5点を必ず確認

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よくある質問

Q. 手数料10%というのは本当に可能なのですか?

A. 間に仲介会社を挟まず、直接契約で運営すれば可能です。多重下請けの中間コストがない分を業者様に還元する仕組みです。

Q. 手数料以外に引かれるお金はありますか?

A. 元請けによっては保険料・システム利用料・駐車場代などの名目で控除がある場合があります。契約前に「手数料以外の控除の有無」も確認しておくと安心です。

Q. 今の元請けの手数料が高い気がします。乗り換えるべきですか?

A. まずは率と支払いサイクルを書面で確認し、複数の元請けと比較することをおすすめします。繁忙期前(春先)は新しい協力業者様の募集が活発になる時期です。